レッスン・学び

理系脳ってどんな脳?

今回はインフラサービスチーム・高野としての投稿となりますので
少々まじめでお堅い話となります。あらかじめご了承ください。

What if? / RANDOALL MUNROE / 吉田三知世=訳
2015年6月初版・早川書房
画像引用:
https://www.ted.com/talks/randall_munroe_comics_that_ask_what_if?embed=true&language=ja

突発的かつ空想的な一般人からの質問に、著者が論理的に回答したものを集めた本です。
全世界での発行部数は100万部以上で、某クイズ番組で赤いジャケットの芸人さんが絶賛したことで有名になった科学書籍です。
理系脳が必要となるエンジニアリングの世界で生きていこうと思っていますので、内容がわからなくても読むことが大切だと考えています。
今回はこの書籍をご紹介することで、理系脳とはどういうものなのかを、読んだ皆さんが少しでも理解してもらえたら嬉しいです。

寄せられている質問はこんな感じです。
・光速の90%の剛速球をバッターに投げたらどうなるか?
・人類総がかりでレーザーポインターで照らしたら月の色は変わる?
・どのくらい高い空から落とせば、その熱でステーキが焼けますか?
・星の王子さまがいたような小惑星がじっさいにあったら、居心地はどう?
・ヨーダのフォースパワーってどのくらいですか? ワットでいえば何ワット?
・深海底に穴をあけたら、海水が抜けるにつれて地図はどう変わる?
・Facebookユーザーのうち、死んだ人の数が生きてる人を追い越すのはいつ?

私はこの本を複数回読みましたが、まったく理解できていません。
理系脳を必要とするもので、文系脳を必要とする小説や詩集とはまったく性質が異なる本です。

野球のボールを光速で投げたらどうなるか?
光速の90パーセントの速さで投げられた野球のボールを打とうとしたら、どんなことが起こるのか?
どうやって投げるのか? そんな野暮なことは不問です。

打てるのか? 捕れるのか? なにが起こるのか?

ボールは時速約10億キロで飛んでいる(運動)。
空気中を何かが運動している場合、空気はその物体を避けるようにして、その周囲をぐるりと回って流れるのが普通だ。
しかし、このボールの前にある空気分子には、わきへよける時間がない。

ボールは分子に激突し、空気分子はボールの表面の分子と核融合するだろう。
衝突のたびに大量のガンマ線が放射され、核融合によって生じた粒子が周囲に散乱されるだろう。
もうすでにこのあたりで「何を言っているのか?」となりますが、理系脳を育むための試練と思い、このままお付き合いください。

ガンマ線と核融合生成物は、空気中の分子の原子核から電子を奪い去り、空気分子をずたずたに破壊しはじめる。
その結果として、球場内の空気は高温のプラズマと化し、膨張する。
空気との衝突で、ボールはほとんどあとかたもなくなる。
膨張するプラズマの雲(主に炭素、酸素、水素、窒素からなる)は、空気中を突進しながらどんどん核融合を引き起こす。
一番外側のX線の層が最初にバッターにぶつかり、続いて数ナノ秒後、核生成物微粒子の雲がぶつかるだろう。

ホームベースに到達するころ、プラズマ雲の中心は依然として光速にかなり近い速度で運動している。
最初にバットにぶつかり、続いて、バッター、ベース、キャッチャーが巻き込まれ、それらはすべて崩壊して微粒子となって、
バックネットをすり抜けてグラウンドの外へ飛び去る。
最外殻のX線層と超高温のプラズマは外側へ、かつ上側へと膨張し、バックネット、両チーム、観客席、そして近隣を飲み込んでいく。
ここまでが最初の1マイクロ秒に起こる。

火の玉が膨張したかと思うと、やがてキノコ雲になって空高く伸びていく。
そして、轟音とともに爆発が起こり、木々はずたずたに引き裂かれ、家屋は粉々に破壊される。
球場の1.5キロ以内にあるものはすべて潰え去り、周辺の市街地全体が猛火に包まれる。

このあたりで理解していきたいことは、運動の速さと核融合の関係性です。
宇宙からの隕石が大気圏に突入する際の火球現象は、今回と似たような理屈となります。
空気と衝突し、発光し、発熱し、運動する物質自体は燃え尽きます。

身近な事柄や現象の中には「難しい論理」や「複雑な理論」が溢れています。
日常の些細な出来事に目を向けることで、新たな発見や新鮮な気づきに出会えるかもしれません。

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